稽古風景より
アップしてある動画は以下の場面の一部を使用しています。
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(写真は稽古段階のイメージです。本番の演技とは異なります。) |
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サンド 「ねえリスト、今度ショパンに会わせなさい。」
リスト 「えーっ、次はショパンですか?あいつは親友なんでカンベンして下さいよ。」
・・中略・・・
サンド 「とにかく私は、ショパンを絶対落とすわ。黙って協力しなさい!」 |
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(演奏 ショパン ピアノ曲から )
ジョルジュサンド・32歳・バツイチ・2人の子持ち。今をときめく売れっ子女流作家。
フランツ・リスト・25歳・女性ファンを失神させるほどの、アイドル的ピアニスト。
そして話題のフレデリック・フランソワ・ショパン・26歳・パリ社交界で圧倒的人気を誇るピアニスト。
1836年、リストは自分の愛人・マリー伯爵夫人のサロンで、サンドにショパンを紹介したのでした。
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サンド 「ねえリスト、ショパンってどんな男?」 |
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リスト 「僕が初見で弾けなかった唯一の練習曲を
作った男で、まあ天才ですよ。 |
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ちなみに僕はどんな曲でも初見で弾きこなせるほど
超絶技巧派。
12歳で開いたコンサートでは、今は亡き
ベートーベンからも賞賛され、
今では女たちを失神させる
「ピアノの魔術師」 と呼ばれ・・ 」
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(ボカッ、頭をこずかれるリスト)
サンド 「あなたのことはどうでもいいの!」
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リスト 「はいはい、まったく、ネエさんには頭が上がんないですよ。
ショパンは僕よりひとつ上の26歳。ネエさんの6歳下かな。ネエさんは肉食系女子ですけど、あいつは全くの草食系男子。病弱で食は細い。趣味は花とファッションで僕の見たところ、花代と洋服代に月に100万円はかけてますね。
ファッションは上から下まで一流志向で、パリのブランドショップや有名カフェや花屋に、自家用馬車で駆けつけ、颯爽と登場する、ハイセンスなファッションリーダー。」
サンド 「うん。うん。とってもステキ。」 |
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リスト 「音楽的にはオペラもオーケストラ作品もほとんど作らず、ひたすらピアノ曲を作り続けるピアノの詩人。
和声的には単純明解だけど、繊細な装飾音を繰広げる自由な旋律、様々な形式、半音階的和声法などによって、ピアノの表現様式を拡大し、ピアノ音楽の新時代を切り開いているロマン派・・」 |
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(音楽専門用語が出てきて、興味なくなりさえぎるサンド)
サンド 「で、サロンでの私の印象について何か言ってた?」
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リスト 「あー、まあ、何ていうか・・・」
サンド 「はっきり言いなさないよ。」
リスト 「はい、えーっと・・
『何だありゃ、あれでも女かよ。
おっさんじゃん』
・・って」
(しばしの沈黙・・・・) |
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サンド 「ふーん、まあ強く印象づけたってことね。」
リスト 「はあ?さすがネエさんプラス思考っすね。
おっさん呼ばわりされておきながら、前向きに捉えられるなんてネエさんぐらいっすよ。
バツイチ・子持ち・アラフォー肉食系女子
が、天下のショパンを落とせたら、歴史的偉業ですよ。」
続く |